末梢血管・フットケアー外来
Peripheral Blood Vessels / Foot Care Outpatient
動脈硬化が原因で、足に血液を供給する動脈が狭くなったり詰まったりする病気を閉塞性動脈硬化症といいます。末梢血管・フットケア外来では、足の潰瘍・壊疽、下肢血行障害などでお困りの患者さまに対するフットケア外来を行っています。
末梢血管ステントグラフトならびに薬剤コーティングバルーンカテーテル実施医である心臓・血管センター末梢血管科長兼フットケアセンター医長の住吉晃典医師を中心に、閉塞性動脈硬化症に対してカテーテルによる血管形成術(血管内治療)や、閉塞性動脈硬化症が進行し、潰瘍や壊疽を伴う重症下肢虚血の患者様の治療も行っています。
また、下肢創傷治療専門の形成外科医である大澤沙由理医師とともに、血管内治療と創傷ケアーを組み合わせ、可能な限り下肢を切断することなく、下肢救済を目指した治療を行います。また、下肢静脈瘤治療は、ベテランの特任部長渡邉哲史医師を中心に治療をしております。血管内治療、外科的治療ともにエキスパ-トの医師がおり、最も至適なタイミングで、安全かつ効果的な治療を患者様に提供できればと考えております。
末梢血管・フットケアー治療について
DCB(薬剤コーティングバルーン)
当院では2017年11月より本邦でDCBが保険診療で使用できるようになりました。
本デバイスは病変部を拡張するバルーンの表面に抗がん剤の一種である低容量の薬剤を塗布する事により狭窄閉塞した血管(浅大腿動脈・膝窩動脈)を拡張した後、一定の確率で起こる再発を減らす目的で使用されるものです。
メリットとしてはステントなどの異物を血管内に何も残さず治療でき、かつ長期間の開存率が期待できるという点です。もし再発した場合でも血管に異物が残っていないため2回目以降の治療の選択肢が多い点があります。
DCBは下記のような患者さんに有効です
〇浅大腿動脈に狭窄閉塞病変を有する方
〇過去の治療で再発を繰り返す方
(病状によっては使用できない場合がありますので医師にご相談ください)
DCBを使用するには「適正使用指針」があり、使用できる施設・術者には制限があります。責任医師である住吉晃典医師は使用資格を有しており、かつ多くの学会で適正使用について講演を行っております。
ステント(Bare Nitinol Stent, Drug Eluding Stent)
従来より、自己拡張型ステントを使用したカテーテル治療の主流の治療方法でありましたが、近年では、薬剤溶出型ステント(Drug Eluding Stent)が保険診療で使用できるようになっています。本デバイスは病変部を拡張するステントの表面に抗がん剤の一種である低容量のパクリタキセルを塗布する事により狭窄閉塞した血管(浅大腿動脈)をステントで拡張した後、一定の確率で起こる再発を減らす目的で使用されるものです。
ドラッグエルーティングステントは下記のような患者さんに有効です
〇 浅大腿動脈に狭窄閉塞病変を有する方
〇 過去の治療で再発を繰り返す方
ステントグラフト
本デバイスを使用できるようになる前は、浅大腿動脈の病変の治療手段としてはバルーンによる病変拡張か、自己拡張型ナイチノールステントの留置術のみが可能でした。浅大腿動脈の長区間の病変に対するこれらの治療方法では、慢性期に生じる再狭窄、再閉塞が問題になり、外科的バイパス術の成績を凌ぐものではありませんでした。本デバイスを使用できるようになってからは、浅大腿動脈の長区間の病変に対する慢性期に生じる再狭窄、再閉塞の低減が期待され、外科的バイパス術と同等の結果が期待できます。
バイアバーンステントグラフトは下記のような患者さんに有効です。
〇 慢性完全閉塞病変の方
〇 浅大腿動脈の長区間の病変
当院は心臓血管外科によるバイパス手術、循環器内科によるカテーテルを用いたバイアバーンステントグラフト留置術を両方行える環境にあり、患者さんの病態、希望に応じた選択ができます。
下肢静脈瘤治療
下肢静脈瘤の治療法は症状、病気の段階、患者さんの希望などによって、決定します。
治療法には、
1)弾性ストッキングによる圧迫療法
2)硬化療法(注射による治療)
3)ストリッピング手術
4)レーザー治療
5)CAC治療
と大きく分けて5つあります。